皮膚の病気
湿疹(赤いポツポツなど)ができたり赤くなったりする病気
●乳児湿疹
生後2ヶ月くらいから、顔、首、胸などに見られます。
小さなニキビのように見えます。
●脂漏性湿疹(●乳児脂漏性湿疹、●脂漏性皮膚炎)
頭、髪の生え際、耳の周りなど、皮脂が出やすい部位にできやすい湿疹です。
生後1~2ヶ月から見られるようになります。
黄色みがかったかさぶたのような皮脂のかたまりが付いたり、カサカサになったりします。
●よだれかぶれ
よだれがつくところに湿疹ができることをいいます。
ふつう口の周りにできますが、指しゃぶりをする子どもでは指にできることもあります。
●貨幣状湿疹
境界がはっきりした円形の湿疹のことをいいます。
アレルギーが原因のこともあります。
●接触皮膚炎
何らかの物質に触れた皮膚が赤くなったり、かゆくなったりする病気です。
●自家感作性皮膚炎
貨幣状湿疹や接触皮膚炎などの湿疹を?いているうちに、離れた場所にも発疹ができてしまう病気をいいます。
●多形滲出性紅斑(多形紅斑)
紅斑とは、盛り上がりや凹みがあまりない皮疹のことをいいます。
多形滲出性紅斑(多形紅斑)は、大小不同の薄い赤色をした皮疹から始まり、日数が経つと少しむくみを持って広範囲に広がり、その後、中央付近の赤みとむくみが減った紅斑になります。
ウイルスや細菌などに感染したあとに見られる傾向があります。
●蕁麻疹(じんましん)
少し盛り上がった、いろいろな形(地図状)の発疹が見られます。
軽いときは、蚊に刺されたような発疹のこともあります。
ふつうかゆみを伴います。
アナフィラキシー(重症のアレルギー)症状のひとつとして現れることもあります。
●アレルギー性発疹
アレルギーの原因がわからないことが多々ありますが、原因となる食品を食べたあとに発疹が現れることもあります。
薬を服用したり注射して出る発疹は薬疹と呼ばれています。
●薬疹、●アレルギー性薬疹
薬を飲んだり注射をしたあと、数日から数週間して出る発疹のことをいいます。
小さく盛り上がった発疹のこともあれば、大きな紅斑のこともあります。
かゆみを伴うことも伴わないこともあります。
●アトピー性皮膚炎
かゆみや湿疹が長く続いたり繰り返す病気です。
1歳以下から見られることが多く、膝の内側、膝の裏、足首の前、首の周り、頬、額、耳の周囲などに、かゆみや湿疹ができやすい傾向があります。
お父さんやお母さんがアレルギーを持っていらっしゃる方に多く見られます。
肌が乾燥している病気
●皮脂欠乏症
肌の表面にある皮脂が少なくカサカサしています。
角質の水分が少なくなり、肌が乾燥している状態にあります。
肌がかゆくなる病気
●皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
発疹がないのにかゆみが生じる病気のことをいいます。
全身にかゆみがある場合は、腎臓、肝臓、血液の病気を疑います。
かぜをひいたときに発疹が見られる病気
●ジアノッティ症候群、●ウイルス性発疹
EBウイルスやサイトメガロウイルスをはじめ、いろいろなウイルスに感染したときに見られる発疹のことをいいます。
発疹の大きさはふつう3~4mmですが、1cmくらいになることもあります。
両手足の先端のほうから始まり、四肢の主に伸側に広がり、両頬にも見られるようになります。
胸、おなか、背中にはあまり見られません。
かゆみが見られたり、小さな水泡を伴うことがあります。
首のリンパ節が腫れることもあります。
B型肝炎ウイルスの感染によって生じる発疹はジアノッティ病と呼ばれます。
発疹以外にも全身性の症状が出ることがある病気
●アレルギー、●食物アレルギー、●アナフィラキシー、●アナフィラキシーショック
体に触れたり入ってきたりした異物に過剰に反応することをアレルギーといいます。
特定の食べ物を食べることにより、発疹やかゆみなど、体に何らかの症状が見られる状態を食物アレルギーといいます。
生命に危険が及ぶアレルギー反応をアナフィラキシーといいます。
アナフィラキシーの主な症状には、皮膚が赤くなる、蕁麻疹が出る、腹痛や嘔吐が見られる、ゼーゼーして息が苦しくなる、顔色が悪くなり意識がなくなるなどがあります。
アナフィラキシーは、食べ物以外にも、蜂などの生き物に刺されたり、薬やワクチンの副作用として現れることがあります。
食べ物であればおよそ30分以内、蜂に刺されたりワクチンをしたりなど、原因になるものが、直接、体に入ってきたときは多くは15分以内に症状が現れます。
血圧が下がり意識レベルが低下した状態をアナフィラキシーショックといいます。
足(下肢)に紫斑(出血班)が見られる病気
●IgA血管炎(●アレルギー性紫斑病、●シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、●ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、●アナフィラクトイド紫斑病、●血管性紫斑病)
足(下腿)の紫斑(出血斑、皮下出血)、関節痛、腹痛、浮腫(むくみ)などが見られます。
紫斑(出血斑、皮下出血)は、皮膚を手で伸ばしても消えません。
発疹であれば消えます。
3~10歳くらいに多い傾向があります。
紫斑、鼻血、歯茎からの出血、下血、血尿などが見られる病気
●特発性血小板減少性紫斑病
血小板が減ったことにより紫斑(出血斑)が現れる病気です。
紫斑(出血斑、皮下出血)は、皮膚を手で伸ばしても消えません。
発疹であれば消えます。
皮膚がはげる(はく離する)病気
●伝染性膿痂疹(●とびひ)
蚊に刺されたり、赤い発疹ができたところの皮膚がはげてしまう病気です。
体のいろいろなところに飛ぶようにできるので、とびひと呼ばれています。
●ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(●SSSS)
やけどをしたときのように、皮膚が真っ赤になり、はがれてしまう病気です。
熱が出て、全身の皮膚に広がることがあります。
●白癬(●水虫、●たむし)
白癬菌は、皮膚、毛、爪に感染します。
足白癬では、足の裏に小さな水ぶくれができたあと、破れて皮膚がはげたり白くふやけたりします。
まれには硬くなることもあります。
体部白癬では、最初に小さなプツプツ(丘疹)ができたあと、周囲に輪状に広がります。
白癬以外でも、溶連菌感染症や手足口病にかかったあと、指の皮がむけることがあります。
汗による汗疱(かんぽう)でも、手のひらや指の横、足の裏や指の皮膚がむけることがあります。
ときに白癬と鑑別を要することがあります(溶連菌感染症と手足口病は、「熱が出る病気」を見てくださいね。
汗が出ることによって起こる病気
●汗疹(●あせも)
汗をかきやすい時期に、汗が出やすい背中、胸、額などに見られる傾向があります。
かゆみを伴う赤く小さな発疹が多数見られます。
かゆみは見られず、1~3mmの透明または白っぽい水ぶくれ(汗が溜まったポツポツ)が多数見られるだけのこともあります。
●汗疱(●かんぽう)
汗による汗疱(かんぽう)でも、手のひらや指の横、足の裏や指の皮膚がむけることがあります。
汗をかきやすい病気
●多汗症
全身に汗をかきやすい全身性多汗症と、手のひら、顔、頭、脇、足の裏などの限局した部位にたくさん汗をかく局所多汗症があります。
手足の指先や耳たぶが赤く腫れる病気
●凍瘡(●しもやけ)
寒い時期に、手や足の指、耳たぶなどが赤紫色になって腫れぼったくかゆくなることをいいます。
血液の流れが悪くなることが原因です。
肌が黄色っぽくなる病気
●黄疸(●おうだん)
白目が黄色っぽい、尿の色が濃い、便の色が白っぽいなどの症状が見られることがあります。
●柑皮症(●かんぴしょう)
みかんなどの柑橘類をたくさん食べたときに肌が黄色っぽくなることをいいます。
手のひら、足の裏で目立ちます。
白目が黄色くなければ黄疸ではありません。
肌が部分的に白くなる病気
●単純性粃糠疹(●たんじゅんせいひこうしん、●はたけ)
境界がやや不鮮明で白い粉を吹いたようにも見えます。
小学生の顔によくできます。
単純性粃糠疹の皮膚は日焼けしにくいので、日焼けをする季節になると目立ちます。
●尋常性白斑(●じんじょうせいはくはん、●白なまず)
肌の色がまだら状に白っぽく抜ける病気です。
体のどこにでもできます。
日に当たって肌が赤くなる病気
●日焼け(●日光皮膚炎)
日光含まれる紫外線を浴びることで肌が赤くなったりほてったりすることをいいます。
イボができる病気
●伝染性軟属腫(●水いぼ)
0.5~5mmの軟らかいイボです。
乾燥肌の方はできやすい傾向があります。
かゆくなって引っ掻くと潰れることがあります。
●尋常性疣贅(●じんじょうせいゆうぜい)、●いぼ
どこにでもできますが、爪の付け根の皮膚によく見られます。
爪をかむことで広がることがあります。
小さなプツプツができる病気
●毛孔性苔癬(●もうこうせいたいせん)
二の腕や太ももに直径1~3mm程度の小さなプツプツができる病気です。
触るとザラザラした感触があり、赤みがあったり黒ずむこともあります。
5歳くらいからできることがあります。
30歳くらいになると目立たなくなります。
●稗粒腫(●はいりゅうしゅ)
目の周りに直径1~2mm程度の黄白色をしたプツプツ(丘疹)ができる病気です。
頬や陰部にできることもあります。
皮膚が局所的に厚くなる病気
●鶏眼(●けいがん、●うおのめ)
皮膚の一部に圧が反復的にかかることで生じる局所的な肥厚です。
足の裏の指近くにできることが多く、皮膚が硬くなった中央に目のような芯があります。
圧力がかかると痛みが見られます。
●胼胝(●べんち、●たこ)
足の裏や手のひらの皮膚の一部に、圧が反復的にかかることで生じる局所的な肥厚です。
境界が明確ではなく、厚くなった皮膚はやや黄色みがかって見えることがあります。
圧がかかっても痛みはないか軽度です。
手のひらにできることもあります。
あざの病気
●母斑(あざ)、●乳児血管腫(いちご状血管腫)、●単純性血管腫、●サーモンパッチ(サモンパッチ)、●ウンナ母斑、●蒙古斑(もうこはん)、●太田母斑、●青色母斑、●扁平母斑、●ベッカー母斑、●カフェオレスポット(レックリングハウゼン病)、●表皮母斑、●脂腺母斑、●母斑細胞母斑(●色素性母斑)
あざにはいろいろな種類があります。
赤あざには、乳児血管腫(いちご状血管腫)、単純性血管腫、サーモンパッチ(サモンパッチ)、ウンナ母斑などがあります。
青あざには、蒙古斑(もうこはん)、太田母斑、青色母斑などがあります。
茶あざには、扁平母斑、ベッカー母斑、カフェオレスポット(レックリングハウゼン病)、表皮母斑などがあります。
黄あざには、顔や頭にできる黄色味がかった脂腺母斑があります。
脂腺母斑は、悪性になることがあるので思春期前に切除します。
ほくろの正式名称は、母斑細胞母斑または色素性母斑といいます。
皮膚にこぶができる病気
●毛母腫(●もうぼしゅ)、●石灰化上皮種(●せっかいかじょうひしゅ)
皮膚にできる石のような硬さのしこりです。
顔、首、腕にできやすい傾向があります。
毛の成分からできている良性腫瘍です。
触ると表面は凸凹していますが、境界は明瞭で可動性があります(悪性腫瘍の場合はほとんど動きません)。
色は、皮膚の色または黄白色や青黒色に見えることがあります。
●リンパ管腫
子どもや若い人に多く見られる良性の腫瘍です。
多くは先天性です。
胴体や手足にもできますが、頭、首、脇にできる傾向があります。
リンパ管腫ができたところは出血することがあります。
●黄色腫、●若年性黄色肉芽腫
黄色腫は脂肪を含んだ良性の腫瘍です。
上まぶたにできる皮膚より明るい黄色で扁平の盛り上がりは眼瞼黄色腫と呼ばれます。
中年以降に多く見られます。
黄色肉芽腫(良性腫瘍の一種)は、皮膚にできやすく、表面はスムーズで少し盛り上がった形状をしています。
生まれたときから見られることもありますが、ふつう生後数ヶ月以内に発症します。
顔、頭、首、四肢、胴体のどこにでもできます。
3歳くらいまで、数や大きさが増大することがありますが、多くは6歳くらいまでに自然になくなります。
おしりの割れ目に小さな穴が空いている病気
●仙尾部皮膚陥凹(●せんびぶひふかんおう)(●仙尾部陥凹、●仙骨部皮膚陥凹、●仙骨部陥凹)、●腰仙部皮膚陥凹、●脊髄係留症候群(●せきずいけいりゅうしょうこうぐん)、●潜在性二分脊椎症(●二分脊椎)、●脊髄脂肪腫(●脂肪脊髄髄膜瘤)
おしりの割れ目(肛門より腰に近い側)の皮膚にある小さなくぼみを仙尾部皮膚陥凹といいます。
30人に1人ぐらいの割合で見られます。
仙尾部皮膚陥凹には、病的な意味がないことがほとんどですが、ときに、おしりに近い脊髄に脂肪腫ができていることがあります。
その脊髄脂肪腫が、身体の成長過程で、脊髄(神経)を引っ張ってしまうと、足の痛み、しびれ感、転びやすい(運動障害)、おしっこを漏らす(尿失禁)、便秘などの症状が現れることがあります。
脊髄脂肪腫や潜在性二分脊椎(生まれたときから脊髄が通る通路の一部が2つに分かれている脊椎)の多くは、何らかの皮膚症状を伴っています。
皮膚の下にしこりが触れたり(皮下腫瘤、皮膚突起)、赤あざがあったり(血管腫)、毛がたくさん生えていたり(多毛)、皮膚にくぼみがあったり(皮膚陥凹、皮膚洞)します。
刺されたために起こる病気
●刺虫症(●虫刺され)、●ストロフルス、●ドクガ皮膚炎、●チャドクガ皮膚炎、●イラガ皮膚炎、●カレハガ皮膚炎、●マダラガ皮膚炎、●タケノホソクロバ皮膚炎、●アオバアリガタハネカクシ皮膚炎、●蜂刺症(●はちししょう)、●ムカデ咬傷(●むかでこうしょう)、●マダニ刺咬症(●まだにしこうしょう)
虫に刺されたところは、ふつうかゆみや痛みが見られ、赤くなって少し盛り上がります。
蚊やダニなどの虫に刺された痕が腫れてかゆくなった状態をストロフルスといいます。
マダニ刺咬症の多くは、ダニが皮膚を咬んでいる状態で発見されます。
痛みやかゆみはほとんどありません。
6~14日後に熱が出て、重症熱性血小板減少症候群を起こすことがあります。
海洋生物(クラゲなど)による皮膚障害
海の生物に触れたり刺されたりすると、皮膚がかゆくなったり痛くなったりすることがあります。
以下の病気は、他のページに載せています。
39℃以上の高熱が出やすい病気
- 突発性発疹
熱が下がると発疹がたくさん出ます。
→「熱が出る病気」を見てくださいね。
のどの痛みが強くなりやすい病気
- 溶連菌感染症(溶血性連鎖球菌感染症)
ときどき細かい発疹が見られます。
→「熱が出る病気」を見てくださいね。
のどや口の中に痛くて赤いポツポツや口内炎ができる病気
- 手足口病
→「熱が出る病気」を見てくださいね。
熱が続く病気
- 川崎病(皮膚粘膜リンパ節症候群)
よく発疹が見られます。
→「熱が出る病気」を見てくださいね。
関節痛や皮疹を伴う病気
- 若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)
- リウマチ熱
→「熱が出る病気」を見てくださいね。
発疹と熱が出る病気
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- 水痘(みずぼうそう)
→「発疹が見られる病気」を見てくださいね。
発疹や水疱が集まってできる病気
- 帯状疱疹
→「発疹が見られる病気」を見てくださいね。
顔が赤くなる病気
- 伝染性紅斑(りんご病)
→「発疹が見られる病気」を見てくださいね。
お股が赤くなる病気
- おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)
- カンジダ皮膚炎
→「お股、陰部に症状が見られる病気」を見てくださいね。
肛門の周りに赤いおでき(膨らみ)ができる病気
- 肛門周囲膿瘍
→「肛門に症状が見られる病気」を見てくださいね。
爪の周りが赤くなる病気
- 爪周囲炎
→「手、脇に症状が見られる病気」を見てくださいね。
皮膚が局所的に厚くなる病気
- 鶏眼(けいがん、・うおのめ)
- 胼胝(べんち、・たこ)
→「足、足の付け根に症状が見られる病気」を見てくださいね。
動物に咬まれた
- 咬傷(こうしょう)、かみ傷
→「事故、けが、やけどなどの病気」を見てくださいね。